そこで、この煙草は、誰の手で舶載されたかと云ふと、
ー芥川龍之介『煙草と悪魔』
歴史家なら誰でも、葡萄牙人とか、西班牙人とか答へる。
が、それは必ずしも唯一の答ではない。
その外にまだ、もう一つ、伝説としての答が残つてゐる。
それによると、煙草は、悪魔がどこからか持つて来たのださうである。
こんにちは、宮寺理美です。
実は、私は以前喫煙者でした。
これを言うと意外に驚かれることが多いです。
単純に、現代社会では「礼服」や「ちょっといい服」という括りの、
「着物」という衣服をいつも着ているので、
それが煙草が結びつかない方が多いだけかもしれません。
たばこと塩の博物館に初めて来たときは、
なんとなく嗜んでいたたばこに、こんな文化的な背景があったなんて!
と、感動しました。
しかし、芥川龍之介の『煙草と悪魔』を読む限りでは、
私も悪魔が持ってきたたばこに魅了されてしまったうちの1人に過ぎないのかもしれません。
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現在、たばこと塩の博物館では特別展「芥川龍之介がみた江戸・東京」が開催されています。
実は最近、芥川龍之介の中国旅行記の電子書籍を読了したばかりで、
今回の特別展「芥川龍之介がみた江戸・東京」にも、勝手にご縁を感じていました。
この度、特別にご許可をいただき、取材をさせていただく運びとなり、大変光栄です。
たばこと塩の博物館は以前渋谷区にあったのですが、その後移転され、
現在は東京スカイツリーのお膝元、本所吾妻橋駅から歩いて10分ほどの場所にあります。
昭和の風情がなんとなく感じられる街から、
天高くそびえるスカイツリーがにょき!と生えている景色は、何回来ても圧倒されます。
巨大建築ってロマンがありますよね。
たばこと塩の博物館へのアクセスはこちら。
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芥川龍之介が生きた時代の東京は、近代化の波が押し寄せ、あらゆるものが変化していきました。
“江戸”から“東京”に変わっていく街の様子や、近代化の影響を受けながら変化するたばこ、
2つの側面から芥川龍之介の人生を追っていきます。
芥川龍之介はヘビースモーカーとしても知られます。
たばこと塩の博物館にこんなにぴったりな人物は他にいないかもしれませんね。
実は芥川龍之介は生まれてまもなく~18歳まで墨田区で育ったのだそうです。
私は、芥川龍之介といえば田端のイメージだったので、今回の特別展でその事実を初めて知りました。
特別展はエスカレーターで2階に上がった特別展示室にあります。
今回は特別な許可をいただき、展示室内を撮影させていただきました。
展示室内は原則撮影禁止となっており、たばこ盆・たばこパッケージのコーナーはご来館のお客様も撮影可能です。
※フラッシュ撮影、動画撮影はご遠慮くださいますようお願いいたします。
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今回の特別展「芥川龍之介がみた江戸・東京」は、
芥川龍之介の人生を出生から追っていく形で展開されます。
芥川龍之介が見たであろう景色が、当時の風景が分かる資料で紹介されています。
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しかし、こんな景色も破壊してしまった一大事が大正時代に発生しました。
1923年(大正12)の関東大震災です。
展示室中央にそびえる壁面、一面に展示されているのは、そんな関東大震災以前の東京の風景写真。
この名所写真帳には書誌情報などの記載もなく、出版社や作者、撮影者も不明なんだとか。
ご本人たちがどんな人物なのか全く分からないのに、
100年後の人間にしげしげと眺められるなんて、なんだか不思議ですね。
亀戸天神や飛鳥山、東京各所の写真が展示されているので、
自分のご縁のある場所を探してみるのも面白いかもしれません。
目をお皿のようにしてじっくり見ていただきたいエリアです。
表紙には「都鳥」がデザインされているのだそうです。
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私が紹介するまでもない著名作『蜘蛛の糸』は、児童雑誌『赤い鳥』の創刊号を飾りました。
今回は『赤い鳥』コーナーも出現!
こんなにズラリと並ぶ機会も、あまり無いかもしれません。
ちょっと興奮してしまいました。笑
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本展では、芥川龍之介だけでなく、
芥川龍之介と縁の深い人物や、墨田川・本所周辺を描いた作品の装丁も見る事ができます。
本が好きな私としては大変嬉しいコーナー。見ているだけでわくわくします。
こちらのコーナー、古書がお好きな方にぜひ見ていただきたいです!
表紙や裏表紙だけでなく、本箱までも見る事ができるように展示されていました。
(プロの仕業です…!)
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もちろん、たばこと塩の博物館ならではの展示品も。
芥川龍之介といえばゴールデンバットと敷島ですよね。
また、芥川龍之介の作品や、彼と縁の深い内田百閒の作品から、
芥川龍之介とたばこの関係性が垣間見えます。
作品の内容にも触れ、芥川龍之介作品に登場するたばこの実際のパッケージが、
大変丁寧に紹介されていました。
芥川龍之介ファンのみなさまにも、レトロなパッケージがお好きな方にも、
ぜひじっくりご覧になっていただきたいコーナーです。
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実は私もマッチラベルは少し持っているのですが、
今回の展示内容をご説明いただいた際に、昔のマッチ箱は木製だという事を初めて知りました。
確かに、私が持ってるマッチラベル、すごく薄い紙なんですよね。
私は紙製のマッチ箱しか見たことがなかったので、
ずっとパッケージ部分だけ切り取っているのだと誤解していました。
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ミュージアムショップには、芥川龍之介の好んだゴールデンバットや敷島のグッズが。
他にも可愛いグッズがたくさんあるので、展示を見た後に是非お立ち寄りください。
芥川龍之介が愛した「たばこ」という視点も合わせ、
芥川龍之介が見た東京の景色を振り返る今回の特別展、
大変充実した内容で、興味深く拝見させていただきました。
たばこと塩の博物館の特別展は毎回コンセプトがおもしろく、
足を運ぶたびに色々な視点を提案してくださる博物館です。
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「芥川龍之介がみた江戸・東京」開催概要
【会 期】2023年9月16日(土)~11月12日(日)
【会 場】たばこと塩の博物館 2階特別展示室
※たばこと塩の博物館のアクセスはこちらをご確認ください。
【開館時間】午前10時~午後5時(入館締切は午後4時30分)
【 休 館 日 】毎週月曜日
(但し9/18、10/9は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)
【 入 館 料 】大人・大学生 100円 小・中・高校生 50円
満65歳以上の方 50円
※障がい者の方は障がい者手帳(ミライロID可)などのご提示で付き添いの方1名まで無料。
※なるべく少人数でのご来場をお願いします。
※やむをえず、開館時間の変更や臨時休館をさせていただく場合があります。
最新の開館状況等は、X(旧ツイッター)、お電話でご確認ください。
たばこと塩の博物館は常設展も大充実なので、
お越しの際は是非一緒にご覧になってみてください。
以前はコロナ禍で使用できなくなっていたコーナーも復活していました。
こちらは3階の常設展示室『たばこの歴史と文化』です。
壁一面のたばこパッケージ。圧巻です。
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引き出しにもたばこパッケージが収納されていて、
ちょっとレアなたばこパッケージなども見る事ができます。
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たばこパッケージに手をかざすと、パネルに詳細な説明が出現!
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来るたびに看板娘ごっこをしているたばこ屋さんのカウンターです。
これ、閉業したお店のカウンターを移設したんだそうです。
昨今、こんな美しいカーブのカウンターはなかなか見かけません。
大変貴重です…!
こちらは常設展示室『塩の世界』
奥に見える女性の像は、ポーランドのヴィエリチカ岩塩坑の「聖キンガ像」の再現で、
ポーランドの坑夫さんの作品なのだそうです。
しかも、現地で製作したものを運搬する気合の入りっぷり。
天井にあるシャンデリアのキラキラの部分も全部塩なんですよ。
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こちらにも、触って楽しむことができるパネルが復活しておりました。
塩の容器をパネルの上に置くと、詳細な説明を読むことができます。
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たばこと塩の博物館は大好きな博物館のひとつなのですが、
常設展も本当に素晴らしいのです。
タッチパネルなどが復活していたのも、個人的に大変嬉しかったです。
ぜひたくさんの方に見ていただきたいです!
実は過去にも取材させていただいたり、SNSでご紹介させていただいたりしたのですが、
今回もご縁をいただき、大変嬉しい1日でした。
また、たばこと塩の博物館のみなさまにもお会いでき、大変嬉しかったです!
皆様ありがとうございました。
また、私の記事を読んでくださった方に、
少しでも「お、いいな、行ってみたいな」と思っていただけたらとても嬉しいです。
【たばこと塩の博物館 HPおよび各種SNS】
公式ホームページ https://www.tabashio.jp/
X (旧Twitter) https://twitter.com/tabashio_museum
Instagram https://www.instagram.com/tabashio_museum_i/
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