着物

大正浪漫譚

【大正浪漫譚】セルロイドと、憧れのかたち

水の流れる音。そして、歯ブラシがしゃかしゃかと働く音。2つの音が響き合って、なんだか働き者になった気分だ。その音を聞きつけた夫が、眠そうな目をこすりながら私のいる洗面所を覗き込んだ。「お、なんか洗ってるんか」「うん、簪増えちゃったからね…」...
大正浪漫譚

【大正浪漫譚】袴の裾からはじまる逆襲

短く着付けた着物の上に袴を履く。今日の着物は、大正時代から昭和初期にかけて女学生たちにも愛された「銘仙」だ。しゅる、しゅる、と衣擦れの音がした。今日は文京区の弥生美術館で開催中の展示を見に行く。タイトルは「はいからモダン袴スタイル」。その名...
大正浪漫譚

【大正浪漫譚】半襟が語る時代の物語

光沢のある生地にほどこされた、精緻な刺繍。わずかな光の角度で色や質感が変わり、糸の陰影が際立つ様子は、いくら見ていても飽きないほどだ。私の手でつやつやと光沢を放つその半襟は、花嫁衣裳用と思しきアンティークの半襟だ。二羽の鶴が向かい合うデザイ...
大正浪漫譚

【大正浪漫譚】古いアルバムと100年前のまなざし

私は、古いアルバムを手に取った。時の洗礼を受けた深緑色の表紙は、少しひび割れている。その表紙には、手編みとおぼしきレースのリボンや、更紗文様の絹の生地があしらわれている。きっとこのアルバムの持ち主が、手ずから飾り付けたのだろう。女性だろうか...
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【大正浪漫譚】異国へ渡る絵葉書、大正乙女の絵封筒

「理美、これ届いてたで」夫が絵葉書を私に渡した。『不思議の国のアリス』の絵葉書に、ブルース・リーの切手が貼られていた。香港の友人からの手紙だ。イギリスの文化と故郷を愛する彼女らしいセレクトに、思わず笑みがこぼれる。友人であるKiri Chl...
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【大正浪漫譚】冷たい雨とベルベットコート ー 明治が生んだ和装コート

「あ~、やっぱり降っちゃったか…」お気に入りの喫茶店に久しぶりに一緒に行こう、と夫と約束したのは一昨日のこと。その時に天気予報を確認しなかった私の手落ちだ。外ではしとしとと小雨が降っていた。気温もかなり低い。「あつあつコーヒーがうまいやん。...
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【大正浪漫譚】食卓の大正ロマン ー 浅草オペラとコロッケー

久しぶりの浅草は相変わらず人の海で、365日いつでも縁日のようだ。人力車の車夫たちはおひとり様の私にも元気に声を掛けてくるが、その爽やかな笑顔をすり抜け、私は浅草文化観光センターへ向かった。今日のお目当ては、東京メトロ24時間券。東京メトロ...
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【大正浪漫譚】北風と破れたショール ー 大正乙女の冬支度

窓の外で赤く染まった葉が風にひらひらと舞っている。そろそろ冬の気配が濃くなってきた。冬支度を急ぐ私は、今日は手持ちのショールを陰干しすることにした。衣装ケースの蓋を開けると、冬の装いと約一年ぶりの再会。毎年、この瞬間だけは小さな同窓会のよう...
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【大正浪漫譚】百貨店が見た夢 ー 杉浦非水と三越百貨店

おや、先日購入した物がポストに届いたようだ。冷え込む雨の休日、二度寝を満喫していたが、いい加減に目を覚まそうかと思ったら、スマホの通知が来ていた。最近の東京は、私にとってすっかりつまらない街になってしまった。円安で訪日観光客が増加傾向なのは...
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【大正浪漫譚・愛知編】幸福は我が心にあり ー 橦木館が語る大正幸福論

「ここにはね、トランプのうちハートだけが無いんですよ。幸福は我が心にあり、が彼の処世訓ですからね。ハートは自分で持ってるってことかもしれません」この可愛らしい洋館に着いたときは、白髪の紳士からこんなキザな言葉を聞く事になるとは全く思っていな...
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