宮寺理美

ご挨拶&お知らせ

年の暮れのご挨拶

街の灯りがいっそう冴え、冬の空気が静かに深まってまいりました。今年も「大正浪漫譚」をお読みいただき、心より御礼申し上げます。本年は、ひとつの“テーマ”を胸に掲げ、大正という季節をより深く旅する一年となりました。資料を紐解き、街並みを歩き、新...
大正浪漫譚

【大正浪漫譚】北風と破れたショール ー 大正乙女の冬支度

窓の外で赤く染まった葉が風にひらひらと舞っている。そろそろ冬の気配が濃くなってきた。冬支度を急ぐ私は、今日は手持ちのショールを陰干しすることにした。衣装ケースの蓋を開けると、冬の装いと約一年ぶりの再会。毎年、この瞬間だけは小さな同窓会のよう...
大正浪漫譚

【大正浪漫譚】時代を結ぶ甘さ ー 大正時代のクリスマスケーキ

「いやぁ、疲れたぁ」「なんだかんだ歩いたもんな、ま、休憩やな」夫と2人で出かけるとなぜか死ぬほど歩く羽目になる。この週末は三菱一号館美術館でどうしても見たい展覧会があり、夫を誘ってみたものの、なぜか銀座くんだりまで散歩する羽目になった。誘っ...
大正浪漫譚

【大正浪漫譚】幸福の灯を探して ー 大正時代のクリスマス

「全部おいしい…幸せすぎる…」「ワインもめっちゃ美味い。これ1本買って帰ってもええか?」クリスマスは私たち夫婦の記念日だ。毎年この時期には、贅沢な食事を楽しむ日を設けている。私が今年選んだこの場所、旧小笠原伯爵邸が建てられたのは昭和初期。そ...
大正浪漫譚

【大正浪漫譚】百貨店が見た夢 ー 杉浦非水と三越百貨店

おや、先日購入した物がポストに届いたようだ。冷え込む雨の休日、二度寝を満喫していたが、いい加減に目を覚まそうかと思ったら、スマホの通知が来ていた。 最近の東京は、私にとってすっかりつまらない街になってしまった。円安で訪日観光客が増加傾向なの...
大正浪漫譚

【大正浪漫譚】大正の旅情、車窓に映る新時代の時間

名古屋駅の新幹線ホームから見える空には、もう月が登っていた。私は夜の移動が結構好きだ。変わって行く空の色や、暗闇の中を流れていく流れ星のような民家の光を眺めるのも好きだし、徐々に近づいてくる東京のビル群は、暗闇の中だとなんだかサイバーパンク...
大正浪漫譚

【大正浪漫譚・愛知編】幸福は我が心にあり ー 橦木館が語る大正幸福論

「ここにはね、トランプのうちハートだけが無いんですよ。幸福は我が心にあり、が彼の処世訓ですからね。ハートは自分で持ってるってことかもしれません」この可愛らしい洋館に着いたときは、白髪の紳士からこんなキザな言葉を聞く事になるとは全く思っていな...
大正浪漫譚

【大正浪漫譚・愛知編】川上貞奴が紡いだ近代女性の軌跡

「うわぁ、眩し…」私はその色鮮やかなステンドグラスの前で思わずつぶやいた。名古屋市内には個性的で美しい近代建築が点在する、と小耳には挟んでいたが、まさかこんなに個性的なんて。文化のみち二葉館と呼ばれるその場所は、おとぎ話の挿絵に登場しそうな...
大正浪漫譚

【大正浪漫譚・愛知編】スダレ煉瓦の里帰り ー 明治村に佇む帝国ホテル

その場所に一歩足を踏み入れた私は、思わず息を呑んだ。ここがあの帝国ホテル…そう思うと足が小刻みに震えそうだった。旧帝国ホテルの設計者が、大正時代を代表するモダンな建築を生み出したフランク・ロイド・ライト氏であることは有名だが、実は更に伝説が...
大正浪漫譚

【大正浪漫譚・神戸編】ライト建築 ー 光と風のモダンライフ

「この坂やべぇな」「嘘でしょ…勘弁して…」神戸に到着してから坂道を嫌というほど歩いた私は、思わずつぶやいた。芦屋川沿いを歩いている時は気持ちの良い道だと思っていたが、その先のライト坂はかなり急だった。神戸近郊には本当に坂が多い。一歩一歩が重...
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