大正浪漫譚 【大正浪漫譚・神戸編】細雪の家と阪神間モダニズム文化 ついに来た。想像していたよりも小さく素朴な雰囲気の木造建築を前に、私は深呼吸をした。その私を、不思議そうに夫が眺めていたが、気にする余裕は無い。早く入って中を見たいが、外観ももっと見たい。逸る気持ちで足がもぞもぞする。木製の門戸のすぐそばに... 2025.10.19 大正浪漫譚
大正浪漫譚 【大正浪漫譚・神戸編】港町が開く異国への扉 その喫茶店の重いドアを開いた時、私は思わず小さな感嘆のため息を漏らした。蔦の絡まる赤煉瓦の喫茶店は、物語の始まりを予感させる美しさだった。しかし、その美しさとは対照的に、私の身体はぐったり疲れ息は上がっていたー その理由は10分ほど前に遡る... 2025.10.12 大正浪漫譚
大正浪漫譚 【大正浪漫譚】断髪ヘアを叩いてみれば大正ロマンの音がする 耳のそばでさくさくと軽やかな音がし、自分の黒い髪がはらはらと落ちていくのが視界の端に見えた。「本当にいいんですか?」と何度か聞いたのち、美容師の山田ちゃんは私の髪に鋏を入れた。私の髪質はちょっと難しいらしい。カラーリングもパーマも思うように... 2025.09.28 大正浪漫譚
大正浪漫譚 【大正浪漫譚】アイスクリームのローマンス 重い玄関の扉を開けると、むわっと熱い空気が顔を直撃した。配達員に感謝しなければいけないと思いながら、玄関先に置かれた小さめの段ボールを回収する。もう9月だと言うのに、まだまだ外に出る気にならない気温だ。届いたのは、私が通販サイトで注文したア... 2025.09.21 大正浪漫譚
大正浪漫譚 【大正浪漫譚】はいからさんが夢見た自由 かげろうゆらゆら小石川、ハーフブーツに海老茶の袴、頭のリボンもひらひらとこれで決まりの女学生、わたくし花の17才 「お、パソコンで動画見てるなんて珍しいな、なんかあったん?」休日にコーヒーを淹れる事を趣味としている夫が、私の分のカフェオレを... 2025.09.14 大正浪漫譚
大正浪漫譚 【大正浪漫譚・銀ブラ編】鬼の如く、恋の如く、地獄の如く 夫と出かけると、大抵いつも鬼の行軍の如く歩く事になる。今日もアンティーク着物で銀ブラ=銀座でブラジルコーヒーを飲み、そのまま帰るつもりだった。しかし、夫が博品館に行きたいと言い始め、私はGINZA SIXに気になっていたコスメブランドの店舗... 2025.08.31 大正浪漫譚
大正浪漫譚 【大正浪漫譚・銀ブラ編】愛と放浪と中華そば 「萬福」と大きく書かれた看板は、いかにも町中華な太字のフォントだ。まだ開店時間前だったが、開店を待っている人もいた。「すごい、開店待ちの人もいるね」「行列やないけん、待っとけばよかろ」夫とそんなことを言いながら外壁の掲示物に目をやると、創業... 2025.08.24 大正浪漫譚
ご挨拶&お知らせ 在水一方 紫陽花の季節に想う対岸の友人 こんにちは、宮寺理美です。各種のSNSでは既にお知らせしていますが、この度、私の友人であるキリちゃん、こと黄可児女史の新書、『在水一方 在日本尋探中国歴史』の巻頭紹介文を寄稿いたしました。子供のころから本を読み、いつか本に携わる仕事がしたい... 2025.06.10 ご挨拶&お知らせファッション交流記文化事業紹介
文化事業紹介 紡がれる糸と谷崎潤一郎 幻の谷崎邸「鎖瀾閣」VR化の挑戦 私は、われわれが既に失いつゝある陰翳の世界を、せめて文学の領域へでも呼び返してみたい。文学という殿堂の檐のきを深くし、壁を暗くし、見え過ぎるものを闇に押し込め、無用の室内装飾を剥ぎ取ってみたい。それも軒並みとは云わない、一軒ぐらいそう云う家... 2024.08.04 文化事業紹介
Uncategorized 【阪神間モダニズム紀行】建築物から辿る日本の近代 こんにちは、宮寺理美です。前回は中国という視点から神戸旅行を辿ってみました。でも実は、今回の神戸旅行はもう一つのテーマがありました。それは「阪神間モダニズム」と呼ばれる文化です。すごくシンプルに説明してしまえば、大正時代~昭和初期の大阪から... 2024.05.05 Uncategorized文化事業紹介服飾文化の歴史